研修業界で仕事をしていると、この時期は新入社員から配属についての悩みをよく聞く。悩みというのは「自分の希望した部署ではなかった」「自分の希望した配属地ではなかった」という、至ってシンプルなものだ。ただ、彼らにとっては非常に気になることであり、自分の新人時代を思い出すと、どこに配属されるのか、発表日まで気が気ではなかったので彼らの気持ちも十分理解できる。特に地元に彼氏や彼女がいる人などは、配属次第で遠距離恋愛になってしまうかも知れないのだから一大事である。
だが、こればかりはどうにもならない。もっと言うなら大きな企業に就職した段階で、どこに配属されるかはある程度覚悟しなければならない。
私の学生時代の仲間で金融機関に就職した友人がいた。彼は東京生まれの千葉育ちで、東京の高校と大学を卒業している。だが就職した会社での配属先は、まったく縁もゆかりもない遠く離れた九州の小さな地方都市であった。配属が決まってそのことを知った私は、さぞかし彼が落ち込んでいるのだろうと思い、彼の居る九州の寮に電話をかけた。ところが彼は落ち込んでいるどころか私に電話の向こうで嬉しそうに、こう言ったのである。「大林、ここはいいぞ。ラーメンは美味いし、とにかくゴルフ場が安い! 俺はこの機会にゴルフを始めようと思うんだ。週末が楽しみだ。良いところに配属された」
極めて前向きな考えである。そんな彼が数年後、今度は大阪に転勤になり、私が大阪へ出張した折に久しぶりに会うことになった。そこでも彼はやはりこう言ったのである。「大林、大阪はいいぞ。なんたって食い物がうまい。それにお笑いの本場はやっぱり大阪だな。話にオチがある。面白いぞ」とまた前向きな意見である。それから数年が経ち、今度は東京の本社に戻り主要部署への転勤が決まった時、彼はこう言ったのである。「やっと本社で俺の力を発揮する時が来た。やってやるぞ!」彼のポジティブ思考にはいつも感心させられる。その後もロンドン、札幌、福岡と転勤を繰り返したが、その都度、彼はその土地の素晴らしさや楽しみ方を熱く語るのである。別にどこだからというのではなく、また何の仕事だからというのでもなく、「どこへ行っても」「何をしても」彼なら最高に楽しむのだろうと思う。楽しい場所があるわけでも楽しい仕事があるわけでもない、その場所を楽しくするのは自分であり、その仕事を楽しくするのも自分である。
生きていれば、自分の思い通りに行かないことはいくらでもある。大事なのは、その時にそれをどう捉え、どう消化していくかではないだろうか。人生を楽しく生きるコツは、前向きに、且つ積極的に考えることである。
「ポジティブに考える」その方がずっと気持ちが楽になる。「ポジティブに考える」その方がずっと面白くなる。「ポジティブに考える」その方が自分の可能性は大きく広がる。
「事実は変わらない」それを変えてしまうのは、自分自身の見方と心である。










