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No.5 中村 中 シンガーソングライター

さよなら十代 中村 中

苦しみの多い10代。それに加えて性同一性障害の悩みを抱えていた中村 中が一人で、どれくらいもがき苦しんでいたか、どれくらい涙を流したのか、正直、想像もできない。2007年1月、10代の頃の苦しみを見つめ、昇華させたアルバム『天までとどけ』を発表。2月にリリースしたシングル『風になる』で中村 中の10代は完結した。

PROFILE

中村 中 (なかむら あたる)
1985年生まれ。独学で身につけたピアノで15歳より曲づくりをはじめる。日常にある葛藤や自身の考えを綴り創りあげた楽曲は、デビュー前の時点で100曲を超えた。2006年6月、「汚れた下着」でデビュー。9月発表の「友達の詩」はオリコンチャート最高位2位に。フジテレビ「僕らの音楽」に新人として異例の出演。ラジオ「オールナイトニッポン」のパーソナリティも務めた。
中村 中 Official Website 「恋愛中毒」 http://www.nakamura-ataru.jp

聴いている一人ひとりに それぞれの答えを見つけてほしい

中村中——今回の取材をする前、渋谷デュオミュージックエクスチェンジで行われたライブ(1月19日開催)を拝見したんですが、バックバンドとの一体感がとても印象的でした。メンバーとはどのようにコミュニケーションをとっているんですか?
「デビュー前は、今みたいにアレンジャーがいなかったので、ピアノ、ギター、ドラムなどの楽器を私自身が触ってバックバンドのメンバーに曲のテーマや方向性を伝えていたんです。今でもそんな風にリハーサルを進めることが多いので、コミュニケーションが自然にとれて、親睦が深まっていると思います」
——バックバンドというよりも、中村さんをヴォーカルにした一つのバンドに見えました。あと個人的にはあのライブで歌われていた『リンゴ売り』という曲が気になっているんですが、1月発売のファースト・アルバムにも未収録の曲ですね…新曲なんですか?
「実は、『リンゴ売り』は、アマチュアの頃によく歌っていた曲なんです。私自身は愛の歌と思っているので、なんの恥ずかしいこともないんですけど、サビで『私を買ってください』という言葉が出てくるので、聴き方によって違う意味にとられかねない。それで、今までふせていたところはありますね」
中村中——会場の雰囲気からそれぞれ形は違っても、聴き手は愛の歌と受け取ったと感じましたよ。全体を通しても、中村さんの歌って一見、ダークっぽいんですけど、聴いた後にすごくプラス思考になれる、元気になれる、そんな歌が多いですね。こんな風に聴いてほしいという想いはあるんですか?
「テーマやメッセージはあるにせよ、私の音楽を娯楽として聴いてほしいという気持ちはあります。その上で、聴いてくれている一人ひとりの方に、それぞれの答えを出していただけたらと常々イメージしています」
——デビューして、約8ヵ月がたちましたね(取材を行った2月現在)。環境の変化もあると思うし、お忙しいと思います。それを辛く感じる時ってありますか?
「この前、あるコンビの芸人さんに密着するTV番組を見たんです。お二人なんか、それこそ寝る時間が実質3時間という世界。量をこなしている人はたくさんいるし、それに比べたら私なんか全然! って思うんですよ。それに、忙しいことを嘆いて、気持ちが負けてしまうのはすごく嫌なので…。もちろん、環境の変化は感じますけど、曲を作る、歌い続けるという自分自身の行為は変わっていないし、むしろ今は、音楽活動がちゃんとできることを喜んでいる幸せな時期。って、何年後かに同じ質問されたら、全く違うことを言ってたりして(笑)」

自分が知っている真のシンガーに比べたら歌唱力はまだまだです

——中村さんのライブを見て、完成された歌唱力だな、と感じたんですけど、歌うという部分で、まだまだ上手くなれるとご自身では感じているんですか?
「歌唱力に関してはまだまだですね。私のフェイバリット・アーティストは、ちあきなおみさんなんですが…そういう真のシンガーと比べたら、私なんかがシンガーと言ってはいけないと思っちゃうんですよ。作品を作って発表しているという自覚はありますが、シンガーと言うにはおこがましいみたいな。あと、一生完成してはいけない、進化し続けないと音楽を長く続けられないなとも思いますし」

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