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No.21 山本賢治 美容師

山本賢治 心に鍵はいらない

カリスマ美容師の到来と共に、急増した美容室。その中で、全国的に見てもとくに苦戦必至と言われる苛烈な環境の原宿で、aJyuはオープン以来2年間、着実に客数を伸ばしてきた。現代のお客様に支持される理由、他の美容室とaJyuの違い、をインタビューで明らかにしていきたい。

PROFILE

山本賢治(やまもと・けんじ)
1972年、福井県生まれ。美容師歴19年。都内某美容室に13年間勤務。その間に渡仏などを経て、原宿・表参道に開店の美容室オープニングスタッフとして参加。2005年4月独立し、原宿駅前に「aJyu」をオープンさせた。

僕なんか「昨日、居酒屋で飲んでましたもん」とお話しちゃいます

山本賢治山本「aJyuをオープンさせる前、原宿エリアをリサーチしたんですけど、どの美容室も手本にはできない、なんか違うなぁという違和感がすごくあったんです。それがaJyuの根本にあります」
——違和感というと、どんな?
山本「結局、美容師がみんなアーティスト気取りなんですね。僕のコンセプトは真逆で、そういったお客様に威圧を感じさせる美容室ではなく、街のパーマ屋さん的なものだったんです」
——街のパーマ屋さんの割にずいぶん、お洒落ですけど(笑)。
山本「もちろん、インテリアなんかはすごくこだわりましたし、内装もくつろぎ感を大切にしてますよ。心の部分で街のパーマ屋さんでありたい、そういう意味ですね」
——アーティスト気取り美容室と、街のパーマ屋さんは、心の部分でどこが大きく違いますか。
山本「一番の違いは、マニュアルじゃなく、人と人として本音でお客様と対話できる部分ですね。例えば、美容師って自分を語る時でも、かっこいいところだけアピールしますよね、『この前、湘南にサーフィン行ってきましたよー』とかなんとか(笑)。僕なんか『いやー昨日、居酒屋で飲んでましたもん』と常に等身大でお話ししてますから(笑)。私生活を虚飾して美容師としての自分をかっこよく見せるのと、素敵なヘアスタイルを作り上げる技術は、全くリンクしない。もし、自分がお客様だったら、緊張する美容室よりも、和ませてくれる美容室の方がいいですもん。そういう、人として当たり前の感覚は絶対に大切にしたいですね」
——たしかに、お店に入った時の雰囲気からして違いますもんね。
山本「かしこまってすまし顔で『いらっしゃいませぇ』じゃなくて、『こんちはー!』『いらっしゃいませー! お待ちしてましたー!!』って感じですから。それだけでも、お客様はほっとすると思うんです。電話の応対一つとっても、一人の人間として感情をきちんと出して…とスタッフを指導しています」
——その姿勢だと、ヘアスタイル提案でも、他店とはずいぶん、違いそうですね。
山本『こんなパーマやカラーにすると、もっと良くなりますよ』というのが美容師のマニュアルトークでよくありますよね。売上アップのために。僕らがそういうものをお薦めする時は、100%本音でそう思っている時ですから。お客様が『持ち合わせ今、ないからいいわ』っておっしゃったら、『でしたら、今回は無料で良いです』って答えちゃいますよ。本音じゃなかったら、そんなこと言えないでしょ?」
——でも山本さんご自身、美容師の修行時代はマニュアル漬けだったんですよね。
山本『もうね、マニュアルがっちりですよ。若い時は技術を極める! って想いしかなくて気づかなかったけど、子供が生まれ親になり自分の内面が豊かになったせいですかね、美容業界で常識のマニュアルの存在が変だなと感じるようになりました」

一言で言うなら僕がつくりたいのはaJyu村なのかもしれない

—マニュアル主導の美容業界で、山本さんのような、脱マニュアル的な考え方は特殊ですね。その山本さんの発想でずっと営業していった時、aJyuはどのように成長・発展していきますか。
山本「正直、店舗が増えるとか、そういうのは全くイメージしないですね。今現在の僕に見えているのは、スタッフの心の部分だけなんです。とにかく、彼ら、彼女らの心を成長させていきたいし、それと共に自分自身も成長していきたいと熱烈に思っています。スタッフがこの先、美容師を辞めて他の仕事に就くのか、独立して自分の美容室を持つのか、それは分からないですけど、どんな環境時でも周囲からちゃんと認められる人間になってほしい…僕はaJyuをそういう人間成長のための場にしたいんですね。一言で表現するとaJyu村。もっと言うならば、いつでも戻って来られる、心の故郷aJyu村(笑)。どのスタッフに辞められるのも、ホント困るし、嫌なんですけど、そういうことってこの先たくさんあると思うんです。でも、辞めて終わりじゃなくて、スタッフ一人ひとりと一生つきあえるというか。いつでも顔を出したり、戻ってこられる場所にしたいんですよ」

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