特別企画 第4弾 シガー魂

シガー魂

PROFILE

No.1 野村たばこ店代表 野村 正興 氏
インタビューの日やや緊張しながら待っていると、野村氏はシガーをくわえたまま外出先から戻ってきた。日本ではめずらしい光景だが、それよりもその姿があまりにも自然だったことに驚かされた。そして気難しそうな外見とは裏腹に、気さくに話を始めてくれた。

入ってくる商品をすべて受け入れていたら「日本一」と言われるように

野村 正興 氏ー現在シガーの種類はどのくらいありますか。
野村「現在は600〜700種類ですが、まだ増えて行きますよ。今のスペース(※ウォークイン・ヒュミドール[保管室])だけでは足りなくなるのも時間の問題ですね。今年だけで新たに50種類ぐらい入る予定ですし。実際こちらのスペースが大通りの裏側にあるのは、向こう(エントランス側)だけでは対応できなくなって、拡張したからなんですよ。二つになったのは無駄なようにも感じますけどね」

ーでもこちらはゆっくりできますし、客側に立って見てみるといい空間ですね。
野村「それはありますね(笑)。裏側で隠れ家っぽいですし。五反田の人にもあまり知られてないようで『こんな所に!』って驚く人も多いですよ」

ーウェブサイト上ではよく「日本一の品揃え」と評されていますが、「日本一」ということを意識していますか。
野村「特に意識はしていないですね。(もともと)『入ってくる物は何でも入れる』という方針が、父の時代からありました。たまたま今の方が入ってくる商品が多いだけで、対応して全部入れてるうちにこうなった、という感じですね。でも『専門店』として、(商品は)全部集めようとは思ってますよ。『日本一』というようなものは、もっと資本力があるところがその気になれば簡単にできるんですから(笑)」

ーでもお店のホームページでも紹介されているように、オリジナルシガー(※プラセンシア・カンデララッパーシガー全8サイズ[ニカラグア産])を制作したりと、精力的に商品開発も展開していますね。こちらには制作にあたってどのぐらい関わっていますか?
野村「(ニカラグアには)注文通りに(シガーを)作ってくれる会社があるんですよ。消費者の希望を汲んでくださって。もちろん会社によって違いますけど。当社は卸会社を介して注文しています。キューバの大手に依頼しても『ウチは自社のラインナップしか作らない』って言われてしまいますけど。将来こうした方法も普及すると思いますね。もしシガーの世界が広まって行けば、の話ですが」

ーもしかすると将来的には「野村たばこ店・オリジナルシガーコーナー」ができることも…?
野村「そうかも知れませんが、限界はあるでしょうね。せいぜい2〜3品でしょうか。それに当社のオリジナルブレンドで成功したら、きっと向こうの会社がそれを一般商品化してしまいますよ(笑)」

野村 正興 氏ー昔と今を比べて、シガーを吸われるお客様層の変化はどうですか。
野村「全く違いますね。昔は値段も高く、品数も少なかったですからね。それに箱買いが当たり前、という風潮でしたし。バラ売りなんて想像もできませんでしたね。ある時から『バラでないと買わない』というお客様が増えてきまして。当初は信じられませんでしたね。でもそれからですね、若い方がシガーにチャレンジするようになったのは。こうした状況はすばらしいと思いますよ。特に若いお客様にはコンピュータ関係の仕事の方が多いですね。ストレスが溜まりやすいのではないでしょうか」

ーシガーを吸っている方で、マナーが目に付いたりすることはありますか。
野村「お店にいらっしゃった方には、そのようなときには『それでは格好が悪いですよ』とは言いますね。またシガレットからシガーに移った方には、灰を頻繁に落とすくせが多いので『それは残しておいた方がいいですよ』とアドバイスをします。基本的なことはきちんと注意しますね。将来(シガーを吸うときに)笑われてしまうのはその方本人ですから。あとは『どこかで(シガーを)吸いたいときは、必ず(周りの方に)ことわってからにしましょう』とも言います。まだ周りが認知しているかどうかは分からないですから。お店にいらっしゃる方は、みなさん素直に聞いてくださいますね」

ーお店に初心者の方も来店されたりしますか。
野村「当社はかなり多いですね。ここである程度(吸い方が)上手になられて、一通りマナーを憶えられて、それから銀座のお店に行かれたりするのではないでしょうか(笑)。ここで憶えられる方は多いと思いますよ。『シガーの学校』みたいなものですね」

ーお店の雰囲気が吸いやすくて落ち着きますからね。
野村「気取ってないですから(笑)」

ー初めてお店に来る方はウェブサイト等から情報を仕入れて来るのですか。
野村「最近はそういう方も多いですが、(一般的に)口コミですね。ここを得意にしてくださる方が話をしてくれるので、『○○さんに紹介されてきました』という方が多いですよ。ただ地方に住んでいる方から『シガーを送って欲しい』という注文があった場合は、お断りしています。一度か二度は来店していただかないと。全く存じ上げない方ですから、お互いトラブルになると困りますし。その方の顔が思い浮かぶぐらいでないと、通販をしないようにしています。(知らない方との通販は)売り上げは伸びるかも知れませんが、単純に商品とお金のやりとりだけですから、楽しみが無いですよね。存じ上げている方なら『他におすすめはありますか?』とか『こちらの商品の方がいいですよ』など、お互いにコミュニケーションが取れる楽しみがありますからね。ですから頻繁に当店を利用してくれる方はほぼ把握してしていますよ」

ー好きな人は好きですが、世間一般では従来のネガティブなイメージもあるせいか、日本ではなかなかシガーが普及しないですね。
野村「日本は圧倒的にシガレットが強いですからね。日本と香港のシガー消費量を比較してみても、圧倒的に香港の方が多いんですよ。面積が日本よりはるかに小さいのにも関わらず、です。これほどシガレットが普及していれば(シガーも売れるだろう)と、ヨーロッパのシガー会社が進出してきますが、全然売れませんよね(笑)。多分経営陣の方々は首をひねっていると思いますよ。やはり日本人一人ひとりの時間がないからじゃないでしょうか。(シガーを)呑むだけの余裕が無いのでしょうね。ですから私は新しいお客様に対して、『無理してでも時間を作りましょう』と言いたいですね。あと呑み慣れている人じゃないと様にならないから、ということもあると思いますね。周りから見ても様になってないと面白くないですよ。格好よく呑めるようでないと。『ああ、いいですね』『すばらしい』という雰囲気を作れないとよくないですね。でも(日本には)雰囲気を作れる環境も少ないですからね。海外ですと(室内は)天井高の石造りで絨毯があって、という感じでしょう。そういうところですとシガーもおいしいでしょうね。ですからこれからだと思いますよ。食事も肉類が多くなってきましたし、洋酒も安くなって、ようやく環境が整ってきたのではないでしょうか。シガーがあるだけではダメですね」

ー野村さんは現在日本のシガー状況に対して、「こうしてみたい」という夢や目標はありますか。
野村「まずそんな力がないですよ(笑)。いろんな企業がチャレンジして今の状態ですからね。お店の話で言えば、当社はパイプもシガレットも販売しておりますので、現在の部屋ですと吸ったとき煙が混ざってしまうんですよね。(ですから)理想はそれぞれの部屋を作ることです。お互いにそれぞれの香りがありますから。あとはお店の外が駐車場になってるんですけど、そこをオープンカフェにすることですかね」

ー最後にシガー初心者や興味を持っている方にアドバイスをお願いします。
野村「まずストレス解消にとてもいいことだと強調しておきたいですね。ちょっとお小遣いが足りなくなるかもしれませんが(笑)。シガーをおいしく味わうには楽しむ時間と心の余裕が必須です。加えて肉料理などの食事のあと、お酒と一緒に呑めれば最高でしょうね。あと大人のオシャレとしても楽しむことはすばらしいことです、とも言っておきましょう。『パイプ10年、シガー20年』と言われるぐらい、本当に様になるまでには年月や経験が必要です。服を『着飾る』ことと『着こなす』ことの意味が違うように。シガーが様になるぐらいであれば、他の『オシャレ』と言われるものも、自分のものにできるでしょう。そうした意味で、『オシャレ』の最たるものだと言えるのではないでしょうか」

ーありがとうございました。

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